第一飛行クラブ 広島 グライダー

この記事は、元自衛隊教官で、長年航空自衛隊に勤務され多くのパイロットを育て上げられた澤井さんに、「これまでの経験を後輩パイロットにぜひ教えていただきたい」とお願いし、特別に寄稿していただいたものです。
現在は、退官され第一飛行クラブ広島で趣味として空を楽しんでおられます。
お忙しい中、記事を書いていただきました澤井さんに深く感謝いたします。
(C) First Flying Club HIROSHIMA  2001

第40回 「事故の連鎖

2010.08.05

このところ空地で事故が頻発しています。昔も北で事故があると次は南で起きるという具合に何か連続して起こる傾向があります。しかしよく見ると人間の傲慢と弱さが見えるようです。

1.スイス氷河特急脱線  7/24

  カーブを回り終らないうちに制限速度35k/hから56k/hにスピードアップしたことが原因と発表されています。JRの尼崎事故を思い出しましたが驚いたのは列車にも運転記録装置が搭載されており、いち早く原因が特定できた安全対策の先進性てす。 

2.秩父でヘリ墜落 7/25

 「セットリングウイズパワー」が原因ではないかと報じられています。自分のローターの下降気流の中に入り、回復不能に陥る状態のことですが、テレビで見る現場は私が以前投稿したコラム第8回「大上山(おおかみとやま)救出作戦」の現場と似ていると思いました。狭い谷はローターが樹木に接触する危険があるので下手に高度を下げられません。当時現場上空で通信中継のために二日間見ていましたが当時のヘリの機長は慎重で、谷への吊り下げは見合わせて尾根にメディツクを二人スリング降下させ、他の機動隊員、残りのメディックは現場の下流の川原に着陸して下ろしました。上空から見ているといらいらしましたがローターの樹木への接触、「セットリングウイズパワー」の可能性を考えるとこの決断は正しかったと思います。むしろ最近の安易な登山ブームと天気の読めない人種があまりに安易に山に入る軽い風潮に不安を感じます。

3.北海道セスナ墜落  7/28

  悪天候の中、新潟から札幌丘珠空港に向かう途中、山越えできず墜落、2名死亡という名門航空会社中日本航空のパイロットにしてはややお粗末な感じの事故です。これと同じような事故が平成4年頃同じセスナ206が雨の中、八尾から熊本に向かう途中福岡県飯塚市付近の山に激突した事故がありました。天候が悪くなれば計器飛行に切り替えてレーダー誘導を受ければ死ぬことはなかったと思います。計器飛行証明を取るのはかなりしんどいと思いますがたとえ証明がなくても計器飛行の心得があれば助かる可能性はあります。

4.ヘリ墜落  8/1

 熊本県山鹿市でロビソンR22自家用ヘリが壱岐から現場に向け飛行中、墜落、2名死亡というお粗末事故でテレビ画面を見ると電線に接触したように見えました。線状のものは下から見上げるときはよく見えますが上から下を見るとほとんど見えません。パイロットの操縦ミスと思われます。ヘリにつては第36回「ヘリコプター」に書いています。

5.山の事故の値段

 インターネットで検索中、山岳遭難の関連情報の中に「山の事故の値段」という興味深いページがありました。私が新潟救難隊に勤務中、数々の山岳遭難事故がありましたが北アルプスを抱える富山、長野、岐阜県等はシーズン中は山岳救助隊を編成して山の近くに待機させているようですが、それぞれの県の予算で動く部隊は他県からきた身勝手で未熟な登山者に悩まされているようでした。入山者には登山口で入山計画を提出させているようですが、これさえ提出せずに入山する者も多く、遭難すると安易に救助を求める傾向があります。昭和50当時、遭難者の搬送に民間ヘリを頼むと生きてて100万円、死んでても50万円という噂を聞きました。小型ヘリで25万円/h、中型ヘリで35万円/hといわれていましたが、この資料によるとヘリチャーター代1,050,000円とあります。そして救助費用合計は1,182,748円とあります。県警も心得ていて、親族にヘリ会社の電話番号を教えているということも聞きました。「そこに山があるから登る」と粋がるのは簡単ですがかって北海道で低温のため多数の死者を出した登山事故ではやはり天気が読めず決心の出来ない人たちが簡単に死んでいます。

 「天気が読めない」”TY”にならないように注意しましょう!

 

  

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