第一飛行クラブ 広島 グライダー

この記事は、元自衛隊教官で、長年航空自衛隊に勤務され多くのパイロットを育て上げられた澤井さんに、「これまでの経験を後輩パイロットにぜひ教えていただきたい」とお願いし、特別に寄稿していただいたものです。
現在は、退官され第一飛行クラブ広島で趣味として空を楽しんでおられます。
お忙しい中、記事を書いていただきました澤井さんに深く感謝いたします。
(C) First Flying Club HIROSHIMA  2001

第38回 「パイロットの資質

2010.04.12

最近発生した2件の航空事故について感ずるところがありますので書いてみました。

1.空自小松基地のノーギヤーランディング

  2009.12.04、小松基地でF−15戦技課程の9機の編隊のリーダーが着陸時ノーギヤーランディングをやったという記事が空自ホームページに載っていました。戦技課程というのは映画で有名になった「トップガン」と同じような内容でいわば戦闘機パイロットの高等教育課程です。このパイロットの行動は9機の編隊のリーダーとしての責任感の重さに負けて注意が散漫になっていたように思えますがこんな初歩的なミスを犯すパイロットが何故淘汰もされずに生き残っていたのか、パイロットの資質に疑問を感じます。

2.ポーランドの政府専用機の墜落

  2010.04.10、ロシア西部のスモレンスク空港近くでチュポレフ154が墜落し、乗客・乗員96名全員死亡しました。ニュース報道によると霧の深い状態で地上からは他の空港への着陸を指示しているのに3回も着陸進入を繰り返し、最後は高度を下げすぎて地面に激突しています。政府専用機のパイロットといえばおそらく最も優秀なものが充てられているはずですがこんな初歩的な事故を起こしたのか不思議です。私はパイロットの養成課程における資質の判定が正しかったのか疑問を感じました。

3.パイロットの資質

  私は昭和38年、26歳で防府基地で第一初級操縦課程T−34の教官として約100名の学生教育と昭和44年から操縦適性検査隊の検査官としての経験から「素質の悪いものは早期に排除すべきである」との信念を持つようになりました。31年間の空自パイロットの経験からその後もいろいろな事故にかかわり、何故こんな奴がいままでどこにも引っかからずにいたのかという経験をしています。マイナス思考の者、決断の遅い者、陶冶性(変に凝り固まったところが無く、教え甲斐があること)の低い者は排除すべき対象と思います。飛行部隊の指揮官として毎日飛んでいる部下のことを考え、日ごろの行いからあいつならこの状況でどういう判断をするだろうかと考えていました。飛行指揮と言っても無線でしかつながっていない状況では彼が本当のことを言っているのかどうどうかは判断できません。お陰でタバコの量が増え贅肉が着く羽目になったものです。教官になって半年後にはアシコマとして10名の学生と4名の教官を指揮して自分の学生を教えながら他の4機の空域の天候、教育効果を考えながら飛んでおり、時には自らの判断で「65−D、コールオフ」と宣言して着陸させたこともあります。「人間は誤りを犯す者」ですからその被害を少なくする努力は必要と思います。

 

  

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