第一飛行クラブ 広島 グライダー

この記事は、元自衛隊教官で、長年航空自衛隊に勤務され多くのパイロットを育て上げられた澤井さんに、「これまでの経験を後輩パイロットにぜひ教えていただきたい」とお願いし、特別に寄稿していただいたものです。
現在は、退官され第一飛行クラブ広島で趣味として空を楽しんでおられます。
お忙しい中、記事を書いていただきました澤井さんに深く感謝いたします。
(C) First Flying Club HIROSHIMA  2001

第31回 「雀の巣

最近アメリカ、イギリスで航空事故が続いていますがアメリカのロンバルディア航空機は事故直前までオートパイロットを使っていたと報じられています。接地するとき機体が傾いていたという報道を聞いてスプリットフラップ(フラップの片効き)ではないかという感じを持ちました。なお、MU−2は着陸前点検でオートパイロットは解除することになっています。

1.雀の巣

  昭和50年ころだと思いますが新潟救難隊の用途廃止のT−34 1機を防府まで空輸して防府から新田原間は新田原のMU−2で移動して翌日新田原のMU−2 1機を新潟まで空輸せよという任務で新田原に一泊しました。以前、新田原のMU−2を地上係留中翼後縁のフラップのスクリュウジャッキの穴から雀が入り込んで中に巣を作ったため朝の始業点検で整備員がフラップダウンしたところ4箇所ある穴のうち1箇所の部分のスクリュウジャッキが動かずフラップが変形したという信じられないような話がありました。私も出発の準備をして新潟の天候回復を待っていましたが午後にもう一度点検したところまさに雀の巣が見つかったのです。

2.フラップの構造

  一般にフラップにはスプリットとファウラーという二つの形式があります。スプリット(分割)型は翼後縁の一部が単純に下に下がり、ファウラーはフラップがガイドレールに沿って後方に広がりながら下に下がるという形式があります。軽飛行機やT−6はスプリットで現在の大部分の飛行機はファウラー型で二段、三段になっています。  

  MU−2のフラップは胴体上面の中央部、主翼の中に1個のモーターがありここからフレキシブルケーブルで主翼内の4個のスクリュウジャッキに動力を伝えています。

  また、最近の飛行機では翼前縁が前にせり出すスラットという高揚力装置がついた飛行機が多くなっています。これはフラップが揚力向上と抗力増大のための装置であり、スラットは翼上面の気流の剥離を防ぎ着陸速度を小さくするのための装置です。

3.スプリットフラップ

  昭和40年代に千歳でF−104のスプリットフラップによる死亡事故がありました。

  着陸のために4機編隊で進入してきた1機がピッチアウト後スプリットフラップになりロールが止まらないままベイルアウトしましたが1500フートでは開傘が間に合わず殉職しました。スプリットフラップが起こった場合の処置は直ちにフラップを上げてノーフラップで着陸することです。直径3センチ程度の穴に雀がどうやってもぐりこんだのか分かりませんが雀の巣は私が体験したことです。

Web designed by広島のホームページ作成はこちら