第一飛行クラブ 広島 グライダー

この記事は、元自衛隊教官で、長年航空自衛隊に勤務され多くのパイロットを育て上げられた澤井さんに、「これまでの経験を後輩パイロットにぜひ教えていただきたい」とお願いし、特別に寄稿していただいたものです。
現在は、退官され第一飛行クラブ広島で趣味として空を楽しんでおられます。
お忙しい中、記事を書いていただきました澤井さんに深く感謝いたします。
(C) First Flying Club HIROSHIMA  2001

第30回 「オートパイロット

最近アメリカ、イギリスで航空事故が続いていますがアメリカのロンバルディア航空機は事故直前までオートパイロットを使っていたと報じられています。私はMU−2S、A型の経験しかないのであまり大きなことは言えませんがオートパイロットの基本的な考え方について多少の意見を述べてみたいと思います。

1.オートパイロットの意義

飛行機がある高度、ある速度で空中を飛行できる姿勢(迎角)はひとつしか無いという空気力学の原理があります。揚力、重力、推力、抗力の釣り合いが取れていないと定常飛行はできません。姿勢が定まったところでトリムを取れば手を離しても飛行できるわけです。MU−2S型はこのタイプで速度、高度等が変わればまたトリムアップしてオートパイロットにエンゲージ゛するわけでトリムは手動になります。MU−2A型はオートトリムが付いていて旋回はダイヤルを回せば自動的にロールイン、ロールアウトをやってくれますが航法器材とリンクしていないので変針点通過の都度方位ダイヤルを回す必要があり全自動とはいえないものです。

2.オートパイロットの仕組み

現在の旅客機は全自動操縦装置がついており着陸も視界ゼロでも実施できるカテゴリーVまで進んでいますがアメリカとヨーロッパでは思想が異なるようでアメリカはオートパイロットで飛行中でもパイロットがコントロールホィールに触れれば自動操縦は解除されるのに対しエアバスはパイロットが解除しない限り自動操縦を続けるという根本的な相違があります。小牧空港での中国航空機の墜落事故はその典型でパイロットがゴーアランウンドの命令を打ち込んだ後でそれと自動操縦を解除しないまま操縦しょうとして失速したものです。逆にアメリカでは何年か前に計器盤の計器の照明灯の電燈切れを二人のパイロットが集中したためにコントロールホィールに触れたのに気づかないまま自動操縦が継続しているものと信じて地面に激突したことがあります。

3.オートパイロットの功罪

 現在の航空機は器材の発達によりディジタル機器で航法計画を入力すれば飛行中のパイロットは計器の監視くらいしか仕事がありません。しかしソ連に撃墜された大韓航空機のようにデータの入力を誤ればこのような悲劇が起きる可能性はあります。私はパイロットの究極の責任は危機管理にあると考えています。旧小倉空港で聞いた仲間のパイロットの言葉が忘れられません。彼のところにきた空自出身の後輩のジェットパイロットが事業用実地試験で基本的な地文航法ができず不合格になったという話です。一般に空自のジェット機は離陸から着陸までレーダーで誘導されており地面はあまり見ていないということを露呈しました。機械は便利ですが人間が機械に使われてはいけません。

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