第一飛行クラブ 広島 グライダー

この記事は、元自衛隊教官で、長年航空自衛隊に勤務され多くのパイロットを育て上げられた澤井さんに、「これまでの経験を後輩パイロットにぜひ教えていただきたい」とお願いし、特別に寄稿していただいたものです。
現在は、退官され第一飛行クラブ広島で趣味として空を楽しんでおられます。
お忙しい中、記事を書いていただきました澤井さんに深く感謝いたします。
(C) First Flying Club HIROSHIMA  2001

第23回 「単発機と多発機」           


  私は5300時間の飛行時間のうち大部分は単発機ですが、パイロットの感じ方の相違を感じたことがあります。

  入間で毎日T−34で飛行していたころ、ある日整備の都合で「今日は1.5時間飛んでください」と言われて後席のV−107のパイロットにどこか希望の場所はあるかと聞いたところ特に無いということなのでいつも30分の飛行では行けない三浦半島に行くことにしました。羽田のコントロールゾーンの西側を横浜に向けて2000フィートくらいで飛び、横須賀の防大の西側から三崎方面を回って江ノ島、鎌倉と見物して帰りました。飛行中後席からは「こわいねー、澤井さんこんな低いところを単発機でよく平気で飛ぶねー」とさかんに牽制してきます。V−107は双発で片発になっても飛行できる設計になっていますが、彼にとっては単発機でエンジンが停止したらどうするのかという不安があったようです。もちろん私だってエンジン停止時にどうするかということは常に考えていますが彼の心配が大げさだと思っていました。

  昭和57年ころ、博多のホテルでのあるパーティで8空団司令のT空将補に会いました。彼は私が防大入学時の同室の1期先輩でF−86FとF−104に乗っており、8空団はF−86FからF−4、F−1への機種転換中でした。「澤井、双発機はいいねえー、心配の種が無い」「そうですか」という会話が印象に残っています。

  単発機ではS・F・O(Simulated Frame Out 模擬エンジン停止)S・F・L(Simulated Forced Landing 模擬不時着陸)という訓練を重視しています。ジェット機ではエンジンが停止すれば操舵のためのパワーも無くなるのでベイルアウトがベターですがそのときでも機体が地上に被害を与えないための努力はします。双発のMU−2でもS・F・Lは定期的に訓練していました。

  双発機で最も違和感があるのは操舵感覚でしょう。MU−2の教官資格を取るために訓練を始めたとき、左席では左手で舵輪、右手でパワーレバーを操作しますが左席ではそれがまったく逆になるわけで左手でパワーレバー、右手で舵輪を握るわけですが慣れればどうということはありません。エアーバス社の旅客機はサイドスティックで操縦しているようですからまた違った感覚になるのでしょうね。

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