第一飛行クラブ 広島 グライダー

この記事は、元自衛隊教官で、長年航空自衛隊に勤務され多くのパイロットを育て上げられた澤井さんに、「これまでの経験を後輩パイロットにぜひ教えていただきたい」とお願いし、特別に寄稿していただいたものです。
現在は、退官され第一飛行クラブ広島で趣味として空を楽しんでおられます。
お忙しい中、記事を書いていただきました澤井さんに深く感謝いたします。
(C) First Flying Club HIROSHIMA  2001

第16回 「気象 ”霧”」           

昭和55年、入間の航空救難団飛行群運用班長時代は毎日T-34で30分飛んでいました。
 私は西日本の勤務が長く、関東平野を飛ぶのは初めてでしたが、ヘイズによる視程の悪さにはびっくりしました。30分では余り遠くには行けませんが、たまに天気のいい時には熊谷方面あるいは三浦半島方面に行くことがありましたが、とにかく2000フィート以下にヘリや小型機がたくさん飛んでいて見張りに神経を使いました。

 IFF(Identification Friend or Foe 敵味方識別装置)もSIF(Se1ective Identification Friend or Foe 選択的敵味方識別装置)もない飛行機でまるでミルクの中を飛んでいるようで関東平野は怖いところです。そんな時は地形、地物を見て飛ぶ、いわゆる地文航法に頼るしかありません。離陸したら関越自動車道を越え、高圧線の電柱を頼りに045度の方向に飛ぶとやがて川越の街が見えてきます。上空ではジェット機や輸送機、あるいは民間のヘリなどが飛んでいます。大宮あたりまで足を伸ばして帰りにGCA(Ground Contro11ed Approach 地上誘導装置)をリクエストし、南側から進入すると左手に狭山湖と西武球場が見えます。入間基地は関東平野の北西端に位置し、すぐ南には横田基地があります。ヘイズなどによって視程がVFRの基準を満たさないときは、スペシャルVFRで飛行場への出入りをしていました。「QP○○リクエストスペシャルブイエフアールクリアランス」「QP○○クリアー、スペシャルブイエフアール、メインテインビロウ1500フィート、アンティルリーチングブイエフアール、リポートリーチングブイエフアール」で離陸できます。着陸時は、「QP○○オーバーカワゴエ、リクエストスペシャルブイエフアールクリアランス」「QP○○クリアートウランウェイ17、リポートダウンウインド」で着陸できます。たまにメンターで百里に行くときなどは余りいい気分ではありません。

 関東平野には多くの飛行場やヘリポートがあり、それらの位置を頭に入れて置かないと怖い目に遭います。たとえば入間から百里までの間には川越ヘリポート、関宿滑空場、ホンダエアポート、龍ケ崎滑空場、霞ヶ浦ヘリポート等があり、いつかは龍ケ崎付近でグライダーが私の上を飛んでいるのを見てあわてて逃げたことがあります。 過去の空中衝突事故は大抵晴天の視程のいい日に多く発生していると言われています。 視程の悪いときはお互いに注意して見張りをしているが、視程のいい時は安心して見張りがおろそかになっていると思われます。

 見張りは目と耳と頭を使う必要があります。目はもちろん常に周囲を見ることで、耳は無線をモニターしていれば少なくとも同じ周波数にいる他の飛行機の位置、行動等が、頭は飛行場やヘリポートがどこにあり、どんなトラフィックが設定してあるか、離着陸の出発・進入経路はどこを通っているかを理解しておくことです。
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