第一飛行クラブ 広島 グライダー

この記事は、元自衛隊教官で、長年航空自衛隊に勤務され多くのパイロットを育て上げられた澤井さんに、「これまでの経験を後輩パイロットにぜひ教えていただきたい」とお願いし、特別に寄稿していただいたものです。
現在は、退官され第一飛行クラブ広島で趣味として空を楽しんでおられます。
お忙しい中、記事を書いていただきました澤井さんに深く感謝いたします。
(C) First Flying Club HIROSHIMA  2001

第12回 「アクロバット 1」

飛行機乗りなら一度は体験したいのがアクロバットではないかと思います。派手なエアショーでなくても大空で白由白在に機体を操って三次元の機動をするのは気持ちのいいものです。そこで私の乏しい経験からアクロバットについて少しお話してみましょう。

私は昭和35年から飛行機に乗り始め、T-34,T-6,T-33,F-86F、とアクロバットのできる機体に約3300時間乗りました。中でもT-34は3000時間乗っていますのでT-34のアクロバットについてお話しましょう。プロペラ機の運動特性はプロペラの回転に対する反力で姿勢と速度によって刻々と状況が変わりますのでジェット機に比べると難しいと言われています。米空軍が初級練習機にプロペラ機を使うことにこだわる理由はそこにあります。どこかの国のショーチームはいまだにプロペラ機を使っているようです。飛行機の運動の基本はX,Y,Z軸の3軸の回りの複雑な組み合わせで説明できます。アクロバットには大きく分けてバーティカル系と

ロール系の二つがありますが、空中戦となればそんなことに関係なく機体を自由に操って相手より優位な位置を占めることが大切です。そのために飛行機の最大能力を発揮させるため普段から機体の限界、特性、癖等を充分把握しておく必要があり、基本的な操縦法を習得しておかなければなりません。バーティカル系にはループ(いわゆる.宙返り)、インメルマンターン、クローバーリーフ等があります。ロール系にはエルロンロール、バレルロール、スローロール等があります。アクロバットではありませんがスピンも大きな機動をする課目です。ロシアのスホイー27、ロック岩崎の複葉機でやっているテイルスリップはメンターでは空中分解のおそれがあるので禁止されています。これからアクロバットの各科目の要点を簡単に解説してゆきたいと思います。

昭和40年代の初め、航空団の機種改変に伴いF-86Fのパイロットや救難団のヘリパイ、輸送航空団のYS-11のパイロットたちが第1初級操縦課程の教官として大挙して防府に赴任してきたことがあります。中にはF-104の転換訓練の途中で脱落した者もいました。そんな連中がある日、教官練成訓練でエルロンロールをしたが、うまくいかなかったという話を聞きました。F-104のつもりで単にエルロンを倒しただけでラダーを十分使わなかったため、えぐるような旋転になり、たちまち機首が下がり、初めてプロペラ機のアクロバットの難しさに気づいたという笑い話があります。480ノットと130ノットではロールレイトが違い過ぎ、ラダーをうまく使わないとできないということです。









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