第一飛行クラブ 広島 グライダー

この記事は、元自衛隊教官で、長年航空自衛隊に勤務され多くのパイロットを育て上げられた澤井さんに、「これまでの経験を後輩パイロットにぜひ教えていただきたい」とお願いし、特別に寄稿していただいたものです。
現在は、退官され第一飛行クラブ広島で趣味として空を楽しんでおられます。
お忙しい中、記事を書いていただきました澤井さんに深く感謝いたします。
(C) First Flying Club HIROSHIMA  2001

第11回 「編隊飛行」

1.編隊飛行とは2機以上の飛行機がリーダーの指揮のもと同一行動をすること」とでも定義できると思います。その2機が同一機種の場合もあるし異機種の場合もあります。

現に私は芦屋救難隊の飛行班長時代にVIPの乗ったV-107にMU-2でエスコートについて福岡空港から対馬の最北端の海栗島(うにじま)のレーダーサイトまで行ったことがあります。V-107は巡航速度110ノット、MU-2は最小安全飛行速度が120ノットですから20度フラップを降ろしてフラフラして飛んでいますから私のほうに旋回されると大変です。編隊の各機の上下間隔は通常1メートル下につけますが、相手がヘリの場合下後方にはものすごいダウンウォッシュがありますから上後方に位置するように飛びます。

2.リーダーシップとフォロワーシップ

編隊飛行の精神として「ステイウィズリーダー」(stay with 1eader)が強調されますが、これはリーダーが山や海に突っ込んでも常に行動をともにせよという強い意志が込められています。リーダーは2機なら2機、4機なら4機分の行動について責任があります藺たとえば、編隊内の各機の上下間隔は約3フィート(1メートル)ですが、4番機はリーダーより約3メートル下方に位置していることになりリーダーが自分のことしか考えていないと越えられると思った山を越えられず、2番機以下は山に激突することになります。昭和40年代の終わりころか50年代の初めだと記億していますが、美保航空祭の展示飛行に参加した築城基地のF-86F4機編隊が待機地点の島根半島上空から雲の間を縫って降下中、山に激突して1番機から3番機までが殉職し、異常を感じた4番機は夢中で引き上げてボロボロになった機体でなんとか築城までたどり着いたことがあります。

通常、2機編隊で離陸するときはリーダーはエンジン出力の98%で離陸し、編隊の機数が多くなればさらにリーダーの出力は絞る必要があります。これは2番機以下の僚機は隊形維持のためにリーダーより多くのパワーと舵を使うからです。したがってリーダーはスムーズな操舵と的確な判断で編隊を安全にかつ効果的に飛ばす責任があり、これを「リーダーシップ」といいます。これに対して「フォロワーシップ」は、冒頭の言葉にあるようにあくまでもリーダーに付いて行くという心構えをいいます。F-86Fでは離陸後リーダーが180度旋回する間に4機すべてがノーマルポジションに着くことが求められていました。

3.基本隊形

図は4機編隊のノーマル隊形ですが、各機の横の間隔は1メートル、上下間隔も1メートルとなっています。ほかにも「スプレッド(疎開または散開)隊形」「フルードフォア(防御)隊形」「コンバット(戦闘)隊形」「イントレイル(単縦)隊形」等ありますが、おいおい話します。

             

4.編隊の旋回

編隊の旋回は当然ながらリーダーに対して旋回の内側にいるか外側にいるかで操作が異なります。同心円上の異なった位置にいる各機が同一行動をするためには2番機は増速し、3.4番機は減速する必要があります。また、上下間隔はいかなる場合も保つ必要がありますから、2番機は見かけ上はリーダーを水平線上に置くように旋回し、3.4番機はリーダーにぶら下がるような感じになります。

           

旋回には「ノーマル」と「ウエザー」の二通りがあります。「ノーマル」は今説明したとおりですが、「ウエザー」は編隊で雲を突っ切るような場合、「常に同じ見え方」を保ちます。これは雲中で水平線等の参照物がなくなったとき「バーティゴ」に陥らぬように配慮したものです。「常に同じ見え方」を保つには旋回の外側にいる機は増速するとともに高度を上げる必要があり、無駄な操作が多くなるのでrブルーインパルス」のようにショーをやるときは「常に同じ見え方」で飛びます。丁度1枚の板の上に編隊が乗っていると考えていいでしょう。


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