第一飛行クラブ 広島 グライダー

この記事は、元自衛隊教官で、長年航空自衛隊に勤務され多くのパイロットを育て上げられた澤井さんに、「これまでの経験を後輩パイロットにぜひ教えていただきたい」とお願いし、特別に寄稿していただいたものです。
現在は、退官され第一飛行クラブ広島で趣味として空を楽しんでおられます。
お忙しい中、記事を書いていただきました澤井さんに深く感謝いたします。
(C) First Flying Club HIROSHIMA  2001

第10回 「電 源」

飛行機の電源はDC28Vで、MU-2Sはニッケルカドミュウムバッテリー1個と直流発電機が各エンジンに1個ずつついています。他にHF用に交流電源が必要ですから、インバーターが1個ついています。MU-2Aは、バッテリーが2個ついています。V-107は、バッテリー2個と直流発電機が2個、インバーターが1個ついています。ただ、V-107の発電機はエンジンにではなく、トランスミッションのギアボックスについていますので、エンジンが回っていてもローターを回さないと発電しませんので、地上で無線待ち受けの場合など問題があります。

エンジンスタートは、どちらの機種もバッテリーでスタートできますが、通常は地上補助電源(APU)を使っています。ジェットエンジンのスタートはレシプロエンジンに比べて簡単ですが、スターターを回すための電流は1200アンペア必要で、ニッカドバッテリーは一時的に大電流を発生するのに適していますが、使った分だけ充電してから発進するのに時間がかかりますので、APUがあるところではこれを使用するわけです。例えば、航空救難が発令されてMU-2とV-107が同時に発進する時は、V-107はバッテリースタートでMU-2より早く発進して行きます。
これは、V107のジニネラルエレク1・リックCT-58エンジンは2軸式のフリータービンなので、抵抗が少なくバッテリーで簡単にスタート出来るのに対して、MU-2のギャレットエアリサーチTPE331シリーズのエンジンは、1軸式でエンジンとプロペラが同じ軸についているため回転抵抗が大きくエンジンスタートに手閤がかかる訳です。MU-2では、まず右側のN皿2エンジンをスタートし、右側のジェネレータースィッチを入れてバッテリーにチャージした後、アンメーターの針が100アンペア以下になったところで、左側のNα1エンジンをスタートさせないといけないのです。

信じられないかも知れませんが、ヘリコプターのローターとギアボックスの間にはクラッチがついています。遠心式のスプラグクラッチといいますが、エンジン側とギアボックス側の2枚の円盤の間に「だるま」のような形をしたものが沢山入っていて、回転が上がると「だるま」が立ち上がる格好になるというのが原理です。従ってエンジンはローターの回転に関係なく回るのでエンジンスタートは楽に出来る訳です。

ジェット機のエンジンスタートはT-33,F-86FまではAPUの電源によるスターターの回転のみでしたが、F-4,F-104,T-2,T-4等は圧縮空気でコンプレッサーの回転を上げる方式になりました。F-15は、第3のエンジンを腹の下に内蔵していて、まずこのエンジンをスタートさせて回転を上げてそのコンプレッスドエアーをメインエンジンに供給してスタートさせます。今度F-15を見掛け時、エンジンスタートの様子を観察していれば、第3のエンジンの甲高い音の後でメインエンジンが回りだすことが分かると思います。V-107でレーダーサイトのグラウンド等に前進待機する時、無線機の電源確保のため市販の可搬型発電機を携行して古いインバーターと組み合わせて使っています。ニッカドバッテリーは、自動車用バッテリーよりやや大型のバッテリー容器の中にVHSビデオカセットのようなセルが沢山入っていますが、大電流の放電、充電が短時間で出来るのが特徴で、なかなか役に立つ奴です。

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