第一飛行クラブ 広島 グライダー

第3回 航空燃料

航空機の燃料やエンジンオイルは定められた燃料、オイルを使用しなければならない、
ならばその根拠は・・? 
自動車の燃料やオイルではなぜいけないのか・・?
皆さん そんな事を1度は考えられたことがあるのではないでしょうか? 
今回はその中で航空燃料についてお話ししたいと思います。
レシプロエンジンとジェットエンジンの燃料が異なるのはお話するまでもありませんが、皆さんが日頃乗られている機体には緑色の燃料「AV100」が使用されており、これは航空ガソリンの民間規格で分類したレシプロ航空燃料等級3種類のうちの1つです。
100は以前「100/130」と呼ばれていた種類です。
では、この数字にはどんな意味があるのでしょう?
この説明をする前に、まずはエンジンの話から始めなければなりません。
エンジン内にある燃料混合気は温度、圧力が上がると爆発的燃焼、「自発火」を起こします。
エンジン内の混合気には既に燃焼した部分(末端ガス)とまだ燃焼していない部分(未燃焼混合気)があり、その末端ガスが何等かの原因で温度が上昇し自発火を起こすことがあります。 (自発火による燃焼は早すぎるので燃焼ガスの温度は過大になります)
これを「デトネーション(ノッキング)」といい、これが起こるとそれにより発生した衝撃波が燃焼室内を往復して激しい振動をおこしたり、シリンダ内のガス温度、圧力が急上昇することにより焼損や、材料強度の低下を起こしたり等、色々な弊害をもたらします。
このデトネーションを防止する工夫が燃料にも行われているのです。
航空エンジンは高空を飛行するため圧縮比が大きくなっています。
そのためデトネーションを起こしやすい環境でもあるので、航空燃料の条件としてこれが起こりにくいということは必要な条件になります。
デトネーションを起こしにくい性質を「アンチノック性」といいます。
これが大きいほど高圧縮比にしてエンジン性能を改善出来るのです。
このアンチノック性は2種類の異なった性質を持った燃料(アンチノック性の大きいイソオクタンと、アンチノック性の小さいノルマルヘプタン)の混合により等級分類されます。
この混合液のイソオクタンのパーセンテージを「オクタン価」として表示します。
試験機によりこの混合液(標準燃料という)を燃焼させ比較調査を実施しこの割合と同等の燃料を標準燃料のオクタン価で呼びます。
オクタン価87の燃料はイソオクタン87%、ノルマルヘプタン13%混合液と同じアンチノック性を持つ燃料になります。
但し、運転条件が変わると同じ燃料でもデトネーションを起こす程度は異なるので試験法も4種類あります。
これは車と航空機で方法が異なります。
航空機は、「航空法(吸気圧力一定で圧縮比を変化させてノッキングを発生させる方法。
巡航状態(希薄混合気)で試験する)」と「過給法(圧縮比一定で吸気圧力を変化させノッキングを発生させる方法。
離陸状態(濃混合気)で試験する)」が使用されます。
この時オクタン価の数字が100/130(100が航空法のオクタン価、130が過給法のオクタン価)なのです。
これが規格の改訂で100となりました。(ちなみに車にはまた違う試験の方法「リサーチ法」と「モータ法」があります。)
仮に航空機に自動車の燃料を使用すると、前文でお話したデトネーションの恐れがあり又、燃料の蒸気圧が高いのでベーパ・ロックを発生する恐れ、さらに自動車の燃料には添加剤等が含まれており、それにより腐食又は有害付着物を蓄積する恐れ等があるので絶対に使用してはなりません。
飛行前点検の時に燃料を抜いたり、タンクのキャップを外して中身を見る作業を行っていますよね!?
この際には、燃料搭載量を確認することは勿論水や異物が入っていないか、そして指定された規格の燃料が入っているかどうかも確認してください。
(外国では燃料泥棒が燃料の変わりに水を入れておくといった犯罪もあるそうですから。日本ではあまりこういう犯罪は聞きませんが…嘘みたいですけど本当らしいですよ。)  
疑問点・また不安な個所等がありましたら御遠慮なく、我々整備の者にお尋ね下さい。
皆様のフライトを技術的な側面よりサポートするのが我々の仕事であり誇りなのですから。
では今月も、確実な整備と安全な飛行計画で大空をお楽しみ下さい。
飛行場にてスタッフ一同心よりお待ち致しております。

第一航空轄L島事業所 整備士T

クラブニュース 2000年3月号掲載

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